KOFGユーザーよ、現実を見てくれ
2021年3月末に「 THE KING OF FIGHTERS for GIRLS 」というソシャゲがサービス終了した。
それ自体は別段珍しいことではない。収益の上がらなかったゲームは切られる。それが世のならいだ。
ソシャゲのファン達は残念がった。そりゃあ悲しんだ。それも当然だ。収益が上がらなかった、つまりユーザーの少ないゲームであってもファンというのはいるものだ。ファンならば好きなゲームが終わってしまったら悲しい。そういうものだ。当然だ。
しかし、である。
ファン達は未だにサービス再開を望んで声を上げ続けているのだ。
それ自体もまあ当然といえば当然だ。好きなゲームが出来れば復活してほしい、これはソシャゲに限らず据え置きゲームでもよくある話だ。シリーズが途絶えて○十年復活を待っているファンは数多いる。
だがそれにしても、と思うことがある。
ファン達の復活の声はあまりにも現実を見なさすぎなのだ。
あまりにもそれが見ていられず、ツッコミどころが多すぎて言わずにはおれなかったのでここにそっと放流する。
1、そもそもなんでサ終したと思ってるんだ
ソシャゲがサービス終了する。それは収益が上がらなかったからである。平たくいえば真っ赤っかの赤字だったからだ。
たまに大会社のソシャゲは収益がまだ黒字でセールスランキングもそこまで低くなくてもここから上がることがないと判断されると終了したりするのだがそれはさておき。
収益が上がらなかったのはなぜか。これはあまりにも明白である。
ユーザーの課金が少なかったからだ。
ユーザーの総数が少なかったということもあるだろう。
明確なユーザー数は不明だが公式Twitterへの反応数で雑に推測してみる。
KOFGの公式アカウントがサ終時に上げた最後のお礼イラストのRTは3000にもいかず、いいねは5000を僅かに上回る程度だった。
サ終当日のお報せのRT・いいね双方1600人台。
3月にお誕生日祝いのイラストが上がったキャラは4人いるが、マキシマのRT・いいねが700・1400、テリーが900・2000、庵が1300・2400、ジョーが500・1100(全て四捨五入した概数)。
Twitterを使用していないKOFGユーザーがいること、イラストはKOFGユーザーでなくてもRT・いいねすることを加味して、終盤のアクティブKOFGユーザーは2000人台、最大限に甘く、多く見ても3000人台ぐらいしかいなかったと考えるのが妥当ではないだろうか。
こちらのデータを見ると概ね月2000万円台の売り上げだったようなのでアクティブユーザーが2000人台というのはあながち外れでもないように思う。
これは、あまりにも少ない。
この中で課金、それも重課金者となるとどれぐらいいたかというのもお察しだ。
ちなみにiOSでのセールスランキングで最高順位は2020/2/13の80位というデータがある。
サ終一年前(正式サービス開始の2019/11/8の数ヶ月後)の順位をその後は一度も抜けなかったのだ。
そりゃ終わるわ。むしろ80位より上に上がることが一度も無かったのによく一年引っ張ったなと感心する。
さて。
ここでタイトルに戻る。
そもそもサ終したのはユーザーが少なく課金額も少なかったからだ。
諦めてないファンの方々は「好きですっていう思いを声にしてあげ続ければ復活するかもしれない!」という。
無理だって。
せっせと運営にメールを送っている人もおり、丁寧な返事を頂いたと喜んでいるようだが、運営の中の人の気持ちはこれだろう。
「金出さなかった人たちが何を言ってるんだ」
「サ終してから想いを伝えてこられてもな」
2、復活・移植したゲームをよく見ましょう
サ終からの復活を諦められない人は言う。
「据え置き機に移植を!」「オフライン化を!」
「復活したゲームもあるじゃないですか!」
確かにある。サ終したゲームがSwitchに移植されたりサ終からの復活を遂げたソシャゲはある。
あるじゃない!じゃあKOFGもワンチャン!
そう思うかもしれない。だが落ち着いてタイトルやゲーム内容を確認すればそんな淡い期待は抱く気にすらならないだろう。
以下に移植やオフライン化したゲームの特徴を挙げる。
1、オリジナルタイトル
移植・オフライン化したゲームのほとんどがオリジナルタイトルだ。原作つきではない。
オフライン化したものの中にスパロボがあるが「期間限定参戦作品が出演したものは除く」と注意書きがあるなど版権の扱いが容易ではないことはすぐにわかる。
目立つ版権としては他に「魔法科高校の劣等生」があるがこれはスクエニのソシャゲであり、スクエニはGファンタジーで「魔法科高校の劣等生」の漫画を連載しているのでシンプルに版権を借りているかどうかはちょっとわからない。
移植にせよオフライン化するにせよ、原作つきならばその版権料の支払いが発生するのは当然のことである。
サ終というのは大半の事例において赤字だからサ終するものなのだから、金をかけて移植なりオフライン化する余裕は少ない。
そこで決して安くはない版権料を払ってまで移植・オフライン化出来る会社はごく僅かなのだ。
スパロボの運営はセガ、魔法科高校の劣等生はスクエニとどちらも大会社である。
復活したゲームといえば乙女ゲーというか女性向けゲームでは「千銃士」が引き合いによく出されているが、あれもオリジナルである。
オリジナルゲームと版権借りた原作つきゲームを同列には出来ないということをKOFGユーザーにはよく考えていただきたい。
2、買い切り作品
これは移植作品をよく見ればわかるのだが、どの作品もアプリの段階で「買い切り」作品である。
追加要素やゲームを彩るパーツなど追加課金がある場合もあるが、必須の課金は最初の支払いのみだ。
これが何を意味するかといえば、元々のゲームの制作では「一定の数だけ売れれば確実に黒字になる」が念頭に置かれているということだ(当然、一定の数だけ売れなければ赤字だ)。
黒字ラインを超えて十分に売り上げがあり、諸処諸々の理由で配信を停止にするがユーザーからの人気の手応えもある……ならば、家庭用ゲーム機に移植しようか、と運営が考えられるのも買い切り作品だからなのだ。
常に課金をしてもらい続けるために休み無くシナリオなりガチャなりを追加し続けなければならないKOFGのようなゲームとはそもそもの制作・運営形態が全く違うのである。
そこを考えずに「アプリの乙女ゲーで移植の前例があるからKOFGも!」というのは的外れも良いところだ。
SNKの格ゲーを乙女ゲー化したDoM(シリーズの9割ギャルゲーなんだが)も、買い切りソフトだったのだ。
DoMをやったんだからKOFGも!とはいかないのである。
ハウス栽培だから年中食べられる野菜と、露地栽培で特定の季節にしか食べられない野菜を同一視して「同じ野菜だから露地栽培のこっちだって年中食べられるように出来るはず!」とか言い出すようなものである(例がわかりにくい)
3、SNKは版権貸しただけなんだよ
驚くべきことだが、これが未だに理解できない人がいるらしい。
SNKさんにも声を送れば!とか大真面目に言っている人がいる。
SNKからしたら知らんがなでしかない。契約を交わして版権を貸しているだけで、その契約の範疇でやっている限りKOFGの制作や運営の状況や環境は知ったこっちゃないのである。
賃貸住宅を想像してみればいい。契約に違反せず賃料を払い続けているのならば大家さんは住人の生活状況なんかどうでもいいのである。
貧乏で毎日もやし飯を食ってようが身の丈に合わない贅沢をして貯金を使い果たそうが知ったこっちゃないのだ。
契約に違反する、もしくは賃料払わなかったら追い出す。それだけである。
身も蓋もない話をするが、SNKは現在開発中のKOF15と追加要素やってるサムスピ以外に手を割く余力はあんまり無いと思われる。
以前自社で運営していたソシャゲも少人数でやっていたのがよくわかる態勢で……うん……
だから、KOFGを引き取ってくださいとか再開してくださいとかをSNKに投げるのは勘弁してくれ。頼む。どう考えてもそれは迷惑だ。
4、復活もオフライン化も移植も無理なんだよわかれ
いやわかりたくないというのはファン心理としてはわかる。だが無理なんだよ。「声を上げれば、声を届ければ!」と必死になるのもわかる。
だが気づけよ、なんでサ終になったのかを。
サ終になったのは金が集まらなかったからだ。
KOFGに金もユーザーも集める力が無かったからだ。
そこにコロナ禍とかの不幸な巡り合わせがあったからとかは否定しないが、サ終したのは赤字だったからでしかないんだ。
海外にもKOFGファンはいる、グローバル化していればって話もあったが、翻訳希望の署名はたったの350人しか集まらなかったじゃないか。
SNK作品の中華系アプリだってほんの数作以外は短期間でサ終してるんだよ。
SNK作品にはグローバルな人気があって大勢のファンがいる、それは間違いない。だがそれはソシャゲの人気には直結しないんだ。
SNKの作品が好きなのと、そのキャラが出ているソシャゲに興味を持つかは全く別の話だ。
そこは絶対に勘違いしないでほしいと思うばかりである。
5、終わりに
なんかそれっぽく閉めた方が良いんだろうから終わりにとかつけたけど、まあツッコミたいことをだらだらつづっただけなので。
まあついでに。
余談であり愚痴だ。
乙女ゲーというオブラートをかけた世界を提示しなくても、かつてKOFは女性に大人気だった。
コミケカタログで京や庵を描いたサークルカットが何ページも並んだことがあった。
ゲーセンにただキャラを見るために通った人たちだっていた。
登場作品は格ゲーとかそんなことは関係なかったんだ。
これは何年も、というか二十年以上前の話なので知らない人がいることは仕方がない。
格ゲーが男性の多いジャンルであることも否定しない。
でも、格ゲーが好きな女性は今だってたくさんいる。
好きだと思えば格ゲーだろうがリアル格闘だろうが飛び込む女性は大勢いる。
それは今も昔も変わらない。
そんな女性ファン達を、格ゲーを、リアル格闘技を、そこに関わる大勢の人たちを馬鹿にする、踏みにじる発言をする人がKOFGファンには残念ながらいる。
格ゲーやリアル格闘技を貶め、それに比べてKOFGは素晴らしいんだという人がいる。
そんな人の発言を支持する人もいる。そうだ、KOFGはとても素晴らしいんだよと叫んでいる。
格ゲーやリアル格闘技を、それを愛する人たちを踏みにじっていることをまるで意識せずに。
あの人達が好きだというKOFGのキャラの本来の世界を、彼らが生まれ育った世界を女性には近づきがたい暴力的な世界だと踏みにじりながら、KOFGを素晴らしいと叫んでいる。
ついでにサ終は版権元のせいだと妄言を振りまく人さえいる。
そんな人たちによるKOFGは素晴らしいという声がKOFGを復活させることなんてない。
原作を踏みにじる、原作の会社を侮辱する人たちの声を誰が受け止めるというのだ。
KOFGユーザーよ、現実をちゃんと見てくれ。
あなた達が愛したKOFGのキャラ達はどんなゲームの出身なのか、どんな人たちがあなた達がKOFGと出会うずっとずっと前からそのキャラ達を愛し、支えてきたのか。
SNKは倒産を経験した会社だ。
親会社の方針とかでまあ色々なことで作っている作品が迷走した会社だ。
今だって迷走してるんじゃないかとたまに思わなくもない。
でもその会社の作る作品を、キャラを、愛し支え続けた人たちの中には女性ファンは少なからずいるんだ。
格ゲーだろうとなんだろうと関係なく、ただ好きになったキャラを作品を愛して手を出した人たちは大勢いるんだ。
乙女ゲーになったから手を出せたって言う人たちがいるのはいい。全然構わない。
乙女ゲーだからこその良さだってあるだろう。
だがその良さを主張するために格ゲーを、リアル格闘を、それに関わる大勢の人々、ファンを貶める必要があるのか。
あれは貶めではないと言えるのならばあまりにも考えが足りないと言わざるを得ない。
以上、愚痴終わり。